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「サッカーから離れた期間を糧に飛躍を誓う」 INAC神戸レオネッサ 伊藤美紀

2017年01月06日
 一昨年の2015シーズン、サイドハーフから自身初のボランチにコンバートされた伊藤美紀。現役最後の年となった澤穂希とダブルボランチを形成した。
「最初は何をしていいのかわからなかった」という伊藤だったが澤の大きなサポートを受け、その才能を開花させた。
「私が全部カバーするから好きにやっていい」この澤の言葉を受け、持前の豊富な運動量と視野の広さを武器に攻守に躍動。この年の皇后杯優勝にも貢献した。
 澤の引退を受け、伊藤は「澤さんと一緒にプレーできたことはサッカー人生の中で幸せなことでしたし、すごく良い経験になりました。頼れる選手がいなくなった時に自分がどれだけ頑張れるかだと思います」と語っていた。


 しかし、2016シーズンリーグ開幕前の2月に行われた練習試合で左膝半月板を損傷。チームの先輩たちのアドバイスもあり、完治を目指し手術をする選択をした。
「怪我、手術をしてサッカーが出来ない現状を受け入れらない自分もいました」そんな思いを抱えながらも約半年間に及ぶリハビリを続けた。
 8月6日に行われたなでしこリーグカップ第10節の日テレ・ベレーザ戦でチームに帯同すると、同月に行われた女子U-23代表合宿に招集され、続く日本女子代表合宿にもトレーニングパートナーとして参加した。9月11日に行われたなでしこリーグ第12節の日テレ・ベレーザ戦で先発フル出場、公式戦での復帰を果たした。
 順調に見えた復帰までの流れだったが、本人の心境は全く違うものだった。
「復帰してからが辛かったです。怪我をする前に出来ていたことが出来なくなっていて、それが一番悔しかった」明らかに違う体の感覚に戸惑いや苛立ちもあった。
 それでも、復帰後は少ない時間ながらリーグ戦での出場を続け、2年連続の優勝を決めた皇后杯の決勝戦でも、前半の45分間を戦いタイトル獲得に貢献した。
「最後、優勝で終われたことはチームとして良かったですが、個人としては納得のいくシーズンではなかったです」と振り返る。


「復帰明けも感覚を取り戻す作業に時間が掛かりましたし、今でもやっと半分取り戻せた感じです。痛みは無いですが、まだ、動く時の反応が遅いですし、瞬時に動く動作は鈍く感じます」とまだまだ本調子には程遠いという。
「体力的に戻っていない部分もあったので、走り込みもそうですし、筋力を落とさないためのトレーニングも欠かせないので、オフの期間に見直して追い込んでいけたらと思っています」とオフの期間を利用し、完全復活を目指す。


 サッカーが出来ずチームから離れた約半年間、苦しい中で得ることもあった。
「サッカーが出来ない状況になって、チームから長い期間離れた人にしかわからない気持ち。そうなった人にしか絶対わからない気持ちだと思います」と苦しかった期間を振り返る。
「でも、無駄なことはないと。今、自分に必要だったからこそ(これまでの日々が)あったと。自分の体と向き合うことが出来ていなかったということだと思います。この先、世界と戦うためにはこの経験、体の管理が必要だったと思っています。気持ち的にも成長できたと思います」苦悩の日々を過ごしながらも、前を向き取り組んできたからこその言葉だった。


 2017シーズンに向けて。
「サポーターの方や怪我をした時に支えてくれた多くの方たちに恩返しが出来るように、プレーで感謝の気持ちを表現できたらと思いますし、試合に出て、チームの勝利に貢献したいです。自分がチームに入ってからリーグでの優勝はまだないので、長い期間の戦いの中でチームが傾いている状況でも、自分がチームを良い方向に持っていける選手になれればと思っています。自分が中心になってチームを強くするとか、勝つという強い想いを持ってやっていこうと思っています」


 サッカーから離れた期間を経て、新たな成長を感じさせる伊藤美紀。まずは、自身の感覚を取り戻し、来季の飛躍を誓う。
伊藤 美紀 いとうみき
INAC神戸レオネッサ
22 MF
青森県出身
1995年9月生まれ
前所属 常盤木学園高校

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